発語のない子どもとの会話と学習-atacカンファレンス2023に参加して-
先週日曜日、支援教員及び保護者や当事者が参加できるatacカンファレンスというものに参加しました。
わたしはリアル参加は初めてでした。
このカンファレンスの特徴として、参加者の範囲を「教員のみ」とされていないこと!これが本当にありがたいです。
さて、ここでの学びを忘れないうちに書き殴っておこうと思って久々にブログを更新しています。
おそらく長くなるので、興味のない方はすみません。
- 発語のない者とのコミュニケーション
- 障がい児者の新しい学び
- 行動障がいのとらえかた
この3つの枠で書いていきます。
(各セミナーの題材がこのままだったわけではなく、全体を通してわたしが学んだことや感じたことをまとめています。)
発語のない者とのコミュニケーション
あえて発語のない"者"としたのは、題材が人とは限らなかったからです。
鳥の研究者の鳥との会話、料理人の素材との会話についても発表がありました。
また、自発的な動きがほぼ見えにくい重度重複障がい児の話もありました。
これらに共通して見えたのは、
1.わずかな動きを見逃さない観察
2.観察のためのゼロベース
この2つに徹底されたと感じました。
ゼロベースを作っておくこと、あるいはゼロベースを知っておくことで、ゼロではない状態にいち早く気付ける状況が生まれます。
逆に言えばゼロベースを作らなければ、それが1や2になっても気付くことができないということですねー。
そして、今までにはゼロベースを知ることが困難だったものに対しても、現在の技術を使えば知ることができるという話です。
重度重複障がい児についての話で、写真機能のタイムラプスや動画、またアプリのiOAK(アイ・オーク)を使うことでわずかな動きを検知したり、逆にゆーっくりとした動きに気づくことができるという話がありました。
そこからが面白くて、「コミュニケーションに関連する動きを見つけるためには、まずコミュニケーションに関係しない動きを特定しなければならない」という話でした。
講師は支援学校の先生で、「真逆のことに思えますが…」と前置きされましたが、鳥と料理の講義を聞いていたので、まさにゼロベースを作る話だなとわたしの中では繋がりました。
そして、ゼロではない状況を見つけ出すと、対象児が何に反応しているのかという仮説を立てられるので、そこから試してみて実践するという繰り返しだと述べられました。
私が感じたこととして、これらの観察実践は保護者が長年かけて無意識に行っていることがあると思いますが、教員や福祉施設のスタッフなど、複数の中で共有する必要がある時や、数ヶ月〜数年の短期間で信頼関係を築く必要がある時には、アプリやカメラなどで目に見える形にするというのは大変有効なのではないかと思いました。
鳥研究者と料理人の講義の際に、研究者と教員の差として共有することの難しさがあるのではないかと私は考えていたので、ここでスッキリできたというわけです。
(講義は選択制で、1限に鳥と料理の講義があり4限に支援教員の重度重複障がい児についての講義があったのです。これらをどちらもを受けたことで学びを得られました。)
障がい児者の新しい学び
障がい児者の学びについてここで学んだこと。たくさんありすぎて何から書くべきか頭がショートしそうです。
講義ではLDやディスレクシアの話となっていますが、私はより重度の障がいがある子にも(うちの子にも)使えるはずと思って期待しています。
一番印象に残ったのは、井上先生の言った言葉で
「支援技術を使って自分でできる状態にすることが大事。それによって圧倒的に学習量を担保できる」ということでした。
そのために先生は「下地(したじ)教材」を作っているというお話でしたが、最初下地教材とは?と思って聞いていましたがだんだんイメージがつかめました。
つまり、それは「生徒本人が使って自力で学習するための」という言葉が隠れているのです。
支援教育の教材として、先生や保護者が横に付いていることが前提になっているものが多くないでしょうか。
もちろん、医療的にそばについていなければならないなどは別として、本人の手で学習をすることができれば、学習能力がまだまだ伸びるのではないか。
わたしもずっと感じていたことで、そのために自作の音付き図鑑やアプリを使った教材などを息子に作っています。これらは全て息子が自分の手で開きたいと思った時に開けるものです。
支援学校の先生方も愛情たっぷりの可愛らしい教材を使って一生懸命授業をしてくださっていることはわかるのですが、わたしの思っている学習とは少し違っていると思ってずっとモヤモヤしていました。(先生にこれ以上を求めるのは間違っている気がするけど、何かが違う…という思い)
それを言語化された気分で本当にスッキリしています。
この先生の個々の下地教材はとても参考になったけれど、これをそのまま真似をすれば良いというのではなくこの発想を理解し実践できる先生が増えるといいなと感じました。
そうすると自然と支援技術も使わざるを得なくなると思います。
それからもうひとつ、井上先生の生徒さんが言った言葉が紹介されていました。
「先生が教えてくれるっていうのは、先生が賢いだけでしょ?でもiPadは僕が自分で操作してるから、僕が解いたってことでしょ」
と言われたと言う話でした。そういうことなんですよね。これは発語がない子も言わないだけで思っているかもしれませんよ。
それから気になったのは「Chatty Library〜しゃべる図書館〜」です。
うちの息子は図書館が大好きなのですが、発語がなく自ら読めないので、これはかなり気になりました。
(ただ、講義室が狭くて定員になってしまったため私は講義を受けることはできませんでした。)
講義資料やチラシはもらうことができたので、それを見ると「ブラウザだけで使えるDAISY図書プレイヤー」と書かれています。
DAISY図書とは、音声と一緒に文字や画像が表示されるデジタル図書です。
これまでも図書館などで利用可能なところもありましたが、自宅のPCやタブレット端末やスマホで再生できるとのことです。
また、PDFで取り込んだものを再生することもできるとか!素晴らしい!
これらの技術が当たり前になってくると、発語の有無にかかわらず学びにアクセスできる人がグンと増えるのではないか。今すごくワクワクしています。
行動障がいのとらえかた
強度行動障がいについての話、保護者としてはウンウンと頷くばかりで「みんながそうあって欲しい」と願いながら聞いていました。
ここで講師の方が言われたのは「支援は肯定的に視覚的に」という言葉。
それから、特性と言うのをやめて「気質」と言うことにした。とも言われていました。
「気質」と言ってみると、それはなかなか変えられないとみんなが理解しやすかったそうです。
同じような言葉で「こだわり」という言葉もわたしは「気質」のように変わってほしいなと思います。
また、服をどうしても着たがらない方の話で、何を着せても全部脱いで裸になってしまうと。
来客の時などとても困っているという話で、講師の方が伺ってもやっぱり着てくれない。
そこでその人の持っている服を全部施設に持ってきてみると、本人が着たい服が見つかったそうです。
服を着たくなかったのではなく、むしろ逆で着たい服があったんですね。
講師の方が「阪神ファンの人が無理矢理巨人のユニフォーム着させられたらどうですか?」と言いました。それを口で言えなかったら、脱ぐしかないかもしれない。
また印象的だったのは、「言葉を話せる人だけが権利を得るのはおかしい」という先生の言葉でした。
「私は〇〇という理由で××ができないので〜」と説明できれば、そういう事情なら仕方ないと言われるかもしれないようなこと。
それを、言葉がないせいで伝えられず、脱走や自傷や物を壊すことに繋がってしまう。
パニックもある意味ではコミュニケーション行動のひとつと捉えて、本人が何を要求しているのか丁寧にアセスメントし寄り添う必要があると感じた講義でした。
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やはり長くなってしまいましたが、ここまで読んでくださった方がいたらありがとうございます。
最後にatacカンファレンス2023のリンクを貼っておきます。
講義資料は見られませんが、講義のスケジュールやどんな先生が何について話されたかなどを見ることができます。
2023年12月 ATACカンファレンス2023 ご案内 | atacLab
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